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買占め屋による会社側への肩代わり要求の抑止を狙った規定である。
短期間に大量の株券等を譲渡した場合とは,譲渡前60日間で最も高い保有割合から計算して,譲渡後の保有割合が1/2未満になり,かつ譲渡前60日間で最も高い保有割合から計算して5/100を超えて減少した場合をいう(証取令14条の8)。
最も高い保有割合をA%,譲渡後の保有割合をB%とすると,B/A<1/2かつA−B>を満たす場合が,大量譲渡に該当する。
つまり,わかりやすくいえば,@保有割合が10%を超えている者は,保有株券等の過半数を譲渡すると大量譲渡に該当し,A保有割合が5〜10%の者は,5%超の保有株券等を譲渡すると大量譲渡に該当するということである。
大量保有報告書・変更報告書を提出しない者,または,重要な事項につき虚偽の記載のある大量保有報告書・変更報告書を提出した者は,3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金,またはこれを併科される(証取198条5号.6号)。
法人が大量保有者である場合は法人も3億円以下の罰金に処せられる(証取207条1項2号)。
その他,内閣総理大臣による,訂正報告書の提出命令(証取27条の29)や,大量保有報告書の提出者その他の関係者に対する報告や資料の提出命令,帳簿書類その他の物件の検査権限(証取27条の30第1項),発行会社に対する報告や資料の提出命令(証取27条の30第2項)の規定がある。
これらの内閣総理大臣の権限は,内閣総理大臣から金融庁長官に委任され,さらに財務局長などに委任されている(証取194条の6第1項,証取令41条)。
上場されている株券を購入する場合,証券取引所を通じて購入するか,または,証券取引所外で購入するかは,購入する者が自由に決めることができるが,取引所外での取引は,取引所での出来高や価格に反映されず,不透明なものになりがちである。
また,大量の証券を不特定多数から購入する場合は,売却者である投資者保護の観点からの規制も必要になってくる。そこで,証券取引法は,継続開示規制の対象となる会社の株券や新株予約権付社債券(転換社債券)などを取引所有価証券市場外で買い付ける場合は,原則的に,公開買付の手続に従わなければならないものとしている(証取27条の2第1項)。
わが国の証券取引法の公開買付規制は,公開買付を規制する制度であることはもちろんであるが,それに付け加えて,特定の市場外取引を行う場合には,公開買付によらなければならないとしている点に大きな特徴がある。
公開買付とは,新聞紙上に,特定の株券などを市場の値段よりも高い値段で買い付ける旨の公告を出し,不特定かつ多数の者から均一の条件で市場外で大量の株券などを一気に買い集める行為である。
株を買い集める場合,市場で少しずつ株券を買い集めるという方法をとることもできるが,その場合には,時間がかかるうえ,株券の需給バランスが崩れ,株価が高騰して,多額の資金が必要になることもある。
これに対して,公開買付によれば,短期間で大量の株券を一定の価格で必要な数だけ買い集めることができる。
そのため,公開買付は,会社の支配権を獲得する目的や支配権の強化を目的として行われることが多い。
公開買付が行われる場合は,株主は,これに応じるかどうかの判断を迫られることになる。
また,公開買付の結果,会社の支配権が異動し,会社の経営方針が変わる場合は,その会社の株価が大きく変動することにもなる。
いずれにしても詳細な情報開示が必要とされる場面である。
そこで,証券取引法は,公開買付を行う者に対して,買付期間・買付数量・買付価格などの情報の事前開示と,株主平等取扱いなどを義務づけている。
市場外での買付は,原則として,公開買付によらなければならないため,市場外で買付を行う場合は,新聞公告などを通じて,買付の条件を公開し,他の一般株主にも同一条件での応募の機会を与えたうえで,買い付けなければならないこととなっている。
(a)原則公開買付規制の対象となる取引は,有価証券報告書を提出しなければならない会社が発行する株券,新株予約権付社債券(転換社債券)などの買付等である。
会社の支配権,つまり株主総会での議決権に関係する証券が規制対象となる。
これらの証券の買付を取引所有価証券市場外で行う場合は,公開買付の手続によらなくてはならない(証取27条の2第1項,証取令6条1項)。
(b)例外以下の場合などは公開買付規制の対象外である。
(イ)店頭売買有価証券市場での取引店頭売買有価証券市場での取引は,規制対象外である(証取27条の2第1項1号,証取令7条1項)。
店頭売買有価証券市場での取引は,取引所有価証券市場での取引と同様,誰でもが参加できる公開市場での取引であり,取引が競争売買によって行われ,数量や価格が公表される透明公正な取引であるからである。
(ロ)新株予約権(新株引受権)などの行使による買付新株予約権(新株引受権や転換社債の転換権)の行使による株券等の取得については,公開買付によらなくともよい(証取27条の2第1項2号,証取令7条2項)。担保権の実行による株券の取得については規定がないが,一般的には,公開買付によらなければならないと解釈されている。
(ハリ買付後の株券等の所有割合が5%を超えない場合買付後の株券等の所有割合が5%を超えない場合は,どれだけ多数の株券等を市場外で買い付けても,公開買付の規制対象とはならない(証取27条の2第1項3号)。
逆に,買付後の株券等の所有割合が5%を超える場合は,たとえ少数の株券等の買付でも,市場外で行う場合は,次の「著しく少数の者からの買付け」に該当しない限り,公開買付規制の対象となる。
株券等所有割合の計算の際には,株券を実際に所有していなくても,引渡請求権を有する場合や,議決権の行使について指図を行うことができる権限を有する場合などは,所有と同様に扱われる(証取令7条3項)。
また,買付者と特別の関係にある者や会社の所有する株券等も合算して計算される。
特別関係者は形式基準によるものと実質基準によるものに分けて規定されている。
形式基準による特別関係者は,配偶者および一親等内の親族と20%以上の資本関係のある会社およびその役員である(証取27条の2第7項1号,証取令9条)。
ただし,形式基準による特別関係者の所有分が,内国会社の株券等については議決権数が20個以下,外国会社の株券等については,総株主の議決権の1/100以下の場合は合算の対象外となる(公開買付府令3条1項)。
実質基準による特別関係者は,買付者との間で,共同して当該株券等を取得・譲渡し,もしくは議決権その他の権利を行使することを合意している者,または,買付後に当該株券等を相互に譲渡・譲受することを合意している者である(証取27条の2第7項2号)。
株券等所有割合の計算は,大量保有規制と同様の数式で行われるが,株券等の数ではなく,議決権の数を基準に計算される(証取27条の2第8項)。
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